世界遺産の食文化、モロッコ・フェズの路地裏グルメを堪能する

モロッコの古都フェズは、イスラム教徒によって789年に建設された歴史ある都市で、イスラム文化とアラビア文化の交差点として栄えてきました。フェズはその美しいメディナ(旧市街)が特徴で、ユネスコの世界文化遺産にも登録されています。この迷路のようなメディナには、古代の建築物やモスク、マドラサ(神学校)、そして活気に満ちたスーク(市場)が広がっており、訪れる者を魅了します。

フェズは、モロッコの食文化の中心地としても知られ、地元の食材と伝統的な料理が豊富に楽しめる場所です。特に路地裏の小さな食堂や屋台では、本格的なモロッコ料理を手軽に味わうことができます。

タジンの逸話

モロッコ料理の象徴とも言えるタジンは、フェズの路地裏でぜひ味わいたい一品です。タジンは、円錐形の蓋を持つ陶器の鍋で調理される料理で、肉や野菜、スパイスを使った煮込み料理です。この料理は、モロッコの家庭料理の代表格であり、その深い味わいは訪れる者を魅了します。

タジンの歴史は古く、アラブの遊牧民が始まりとされています。彼らは移動中に簡単に調理できるように、この形の鍋を使用しました。タジン鍋は、少ない水分で食材をじっくりと煮込むことができるため、食材の旨味が凝縮され、スパイスとの相性も抜群です。フェズの路地裏で食べるタジンは、地元の人々の知恵と技が詰まった逸品です。

クスクスの文化

モロッコの伝統料理として欠かせないのがクスクスです。クスクスは、小さな粒状のパスタで、肉や野菜、豆類を一緒に煮込んで食べる料理です。クスクスは、特に金曜日の昼食に食べられることが多く、家族や友人と集まり、共に食事を楽しむ文化が根付いています。

クスクスの調理には時間と手間がかかりますが、その味わいは格別です。フェズの路地裏の食堂では、手作りのクスクスを味わうことができ、その豊かな風味とホスピタリティに感動することでしょう。特に、羊肉や鶏肉、そして新鮮な野菜を使ったクスクスは絶品です。

フェズの伝統的なパン屋

フェズのメディナには、伝統的なパン屋が数多く存在します。ここでは、アラブの伝統的なパンである「ホブズ」が焼かれています。ホブズは、石窯で焼かれるため、外はカリカリ、中はふんわりとした食感が特徴です。このパンは、タジンやクスクスと一緒に食べるのが一般的で、モロッコ料理には欠かせない存在です。

フェズのパン屋では、早朝からパンが焼かれ、その香ばしい香りがメディナ全体に広がります。観光客も、焼きたてのホブズを購入して、その場で味わうことができます。パンの香りと共に広がる路地裏の風景は、フェズの食文化を深く感じることができる場所です。

スパイス市場の魅力

フェズのスークには、色とりどりのスパイスが並ぶ市場が広がっています。ここでは、クミン、コリアンダー、シナモン、サフランなど、モロッコ料理に欠かせないスパイスが豊富に揃っています。スパイスは、モロッコ料理の風味を決定づける重要な要素であり、料理に深いコクと香りを与えます。

市場を訪れると、スパイスの豊かな香りに包まれ、地元の人々がどのようにスパイスを使いこなしているかを垣間見ることができます。スパイス屋の店主に話を聞くと、各スパイスの効能や使い方を教えてくれることもあり、モロッコ料理への理解が深まります。

屋台で味わうお菓子

フェズの路地裏には、多くの屋台が並び、伝統的なお菓子を販売しています。特に人気なのが、アーモンドやデーツを使ったお菓子や、ハチミツたっぷりのパスティーヤ(ミートパイ)です。これらのお菓子は、モロッコの甘いお茶と一緒に楽しむのが一般的です。

屋台で売られているお菓子は、手作りのものが多く、その素朴な味わいが特徴です。観光客は、これらの屋台を巡りながら、さまざまな種類のお菓子を試食することができます。お菓子の甘さと、フェズの独特な雰囲気が相まって、心温まるひとときを過ごすことができるでしょう。

まとめ

モロッコのフェズは、その歴史と文化が詰まった街であり、特にその食文化は訪れる者を魅了します。路地裏の食堂や屋台で味わうタジンやクスクス、伝統的なパンやスパイス、お菓子などは、モロッコの豊かな食文化を感じさせてくれます。

フェズのメディナを歩きながら、地元の人々が受け継いできた料理の数々を堪能することで、モロッコの精神世界とその深い文化に触れることができます。ぜひ、フェズを訪れ、その魅力的な路地裏グルメを楽しんでみてください。

写真出典:

Leather Tanning in Fez” by wgauthier is licensed under CC BY-SA 2.0 .

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